釣りは旅をするための口実のようなものであり、旅は野外で酒を呑むための口実であったりもします。
とにかく旅はおもしろい。
多くの出会い、発見。
たまに栄養失調。
夜は満天の星空の下でウットリしたり、ヤンキーに囲まれて睡眠不足であったり、4日も風呂に入れなかったり・・
改めて思い返すと、ぼちぼちハードだったなあと実感。
そんな会社を辞めての小さな冒険の第一幕がクライマックスを迎えようとしています。
10月からはニュージーランドへ・・。
第二幕もアホをやってそうな予感がします。
今後も懲りずにHP上で報告していきたいと思いますので、宜しくお願いしま~す。
さあ、話しを元に戻して。後編のスタートです。
7月29日
おはようございます。今日も天気が良く、洗濯物が乾きそうです。
道の駅には、数台の車が停まっており、ほとんどが車中泊組みのようでした。
朝食にビスケット、スープをとると、しゅっぱ~つ!
本日の目的地は、秋田県の桧木内川周辺です。
道の駅より、さほど離れていないので、お手頃ザンス。
田沢湖を抜けて、少し走ると、入漁券の販売所がいくつか見え始めました。
まあ、どこで買っても同じだし、早目に買っておこう。
ということで、小さな「何とか商店」のような所へ。
「すいませ~ん。釣り券くださ~い!」
「・・・・・・・・・」
数秒後にガタガタと音がして、おばあちゃんが出てきてくれました。
しかし、おばあちゃん・・。
上半身素っ裸!!!
すげえ、乳出しルックだ・・
ヘソ出しルックは、聞いたことがあるけど・・
渋谷辺りで、流行ってくれると最高です。
おばあちゃんは、全く気にする様子が無く、近寄ってきました。
どきどきしながら店を出ると、車を走らせて第一の目的地である小波内沢へ・・。
林道をガタガタ走ると、ガードレールが無い怖い道へと変わっていきます。
暑いので、窓を開けたいのですが、悪そうな顔をしたアブが隙あらば攻撃を!
なんていう感じで車に体当たりしてきます。
名前は何か分りませんが、外見はスズメバチそっくりな大きいアブです。
刺されたら痛そう・・
それしても、谷が深い。
入渓できそうなポイントが少なそうです。
やがて駐車スペースを見つけました。
大抵の場合、駐車スペースの近くには道がついてます。
予想通り、小道があったので入渓。
川までの道のりは険しく、何度も足を滑らしました。
あと少しというところで、大きく転んでしまい、とっさに木を掴んでセーフ。
やれやれと思っていると、何と目の前にヘビ!
身の危険を感じ、とっさに捕まえて、川に投げ込みました。
かわいそうなヘビは空中で悶えながら、白泡に吸い込まれていきました。
今思うと、マムシでもないし、奴だって逃げようとしていたのだから、投げる必要はなかったなあ、気の毒なことをしてしまった。と反省・・ごめんよ~
川は、恐ろしいほど透明度が高く、そして冷たかったです。
プールには、ちらほら魚影が見えます。
よっしゃイタダキだな!
しかし、透明度が高いせいか、キャストの段階で逃げられてしまう・・
仕方なく、リーダーを長めにとってトリックキャスト。
要は魚の上をラインが通らなければ良いのでしょう。
面倒くさい釣り方ですが、慣れれば意外と簡単に釣れました。
場所が場所だけに間違いなくイワナだと思っていましたが、ヤマメ。
しかし、これ以降は全てイワナでした。小さかったですけど。
フライはアント#14。
魚体はヒレピンのパーフェクトっす。
さらに上流を目指すと、次第に淵が多くなり、遡行が困難となってきたので、断念。
他の川へ行くことにしました。
その次は、同じ水系の堀内沢。
小さい川ですが、魚影、型ともに期待が持てる所です。
しかし、シーズンも終盤戦にさしかかっているため、釣れるかな?とちょっと不安。
堰根橋より入渓。
それにしても、釣れません。出ても極小のヤマメのみ。
イライラすると、草木にフライを持っていかれます。集中力が欠け始めた時、ガサッ!という音が・・
カモシカでした。
写真が小さいので、見にくいですが。真ん中にいます。
いつもは、クマで目が合うと逃げてくれるのですが、カモシカの奴、逃げようとしません。のんきに水を飲んでいます。
まあ、いいか、放っておこう・・
カモシカに気を取られて、キャストがいい加減になってしまいました。
しかし、これが逆に良かったらしく、普段狙わない(狙えない)ような場所に偶然、入ってしまいました。その瞬間、ガボッ!!!!
31cmの立派なヤマメでした。居ることは居るのですねえ~。
バンザイ!
カモシカ君、ありがとう。
さあ、まだ昼間ですが、もう十分釣れたので、道の駅に帰ることにします。
明日は、友人の檜山さんと合流予定なので、不精ひげを剃っておくことにしましょう。
道の駅「雫石 あねっこ」に帰りました。
まだ時間が早いために売店が開いています。
小汚いジャージで入ると、多少注目されましたが・・
あら?温泉卵が売っている・・2つ購入し、一つは風呂上りのビールのお供に。
もう一つは晩御飯に・・
ウエダーが乾く間、風呂に入ることにしました。
この道の駅には温泉があります。
服を脱ぎ、石鹸でゴシゴシ体を洗っていると、湯船からおじちゃんが出てきました。
鼻唄にビブラートをきかせてご機嫌です。
タオルでピシャッ!ピシャッ!と威勢良く、体を叩いています。
歯切れの良い音に皆が注目していました。
おじさんも、熱い視線を感じたようで、叩くのに力が入ってきました。
ピシャッ!ピシャッ!
「いたっ!(痛)」
背中に薄いピンク色のタオル痕をつけて、おじちゃんは去っていきました。
風呂上りの楽しみは何と言ってもビールです。
温泉卵を肴に一杯。
うま~い。
今夜のご飯は、少し贅沢です。
コンビーフ、餅、卵の入ったデラックスラーメン。
食べ終わった時間が午後8時。
暇だったので、ニュージーランド行きを考えて英語の勉強をしました。
偉いでしょ?
7月30日
朝7時頃、シュラフからハッチすると、ビスケットの朝食をとり、洗濯物を取り込んでいました。
もうすぐかな?と思う頃、檜山さんが到着。
久々の再会に話が弾み、釣りに行くのを忘れてしまいそうになりました。
今日は、生保内川へ行ってきます。
川に着いたのは、9時近かったような気がします。
僕らの車は2台とも普通車なので、生保内のハードな林道へチャレンジするのは止めておきました。
歩くのも面倒だし、すぐ釣り始めることに。
檜山さんに先行してもらい、僕は後からついて行くことにしました。
開始間もなく、檜山さんの竿が曲がっています。
釣れたのは20cmのイワナ。
その後も、巧みな竿さばきで次々とイワナを引きずり出していました。
檜山さん、絶好調!
僕も負けてはいられません。
あれ?魚は?
せっかく尺イワナが釣れたのですが、写真を撮る時に逃げられてしまいました~。
なので、釣れたポイントの写真だけなのです。
昼は、ヤキソバ
何だか雲行きが怪しくなってきました。
魚も釣れたし、帰りますか!
そして再び道の駅へ・・
それにしても、雫石の道の駅で何日暮らすつもりなのでしょうか・・・
売店で卵を再び、購入。
他に無いかな?と物色すると、ネギがありました。
なんと60円という低価格。
買出しも終わったし、風呂でも入りますか!
時間が早かったせいか、お風呂は貸しきり状態。のんびりと泳げました。
昨夜に続き、デラックスラーメン。
ネギも入って香り良し。
ああ、おいしい~。
片づけを済ませて、ちょっぴり飲み会。檜山さんは、ロングドライブ&釣りで疲れていたでしょうから、ほどほどに呑むことにしました。
7月31日
おはようございます。
今日も天気が良いです。
檜山さんが持ってきてくださった卵粥が朝食に。
卵粥に朝餉の味噌汁。
それにしても、お粥は朝食にぴったりです。
さあ、これから閉伊川へ!
僕は、前回の行脚で釣っていたので、今日は檜山さんに存分に楽しんでもらうべく、僕はガイドに徹することにしました。
松草駅の近くにある岩井沢合流点付近。
竿抜けポイントと思われる所だけ反応がありました。
20~28cmのイワナを4本。
入渓が楽なせいか、釣り荒れているようで、その後は反応なし。
下流へ移動。
檜山さんは、速攻で31cmのイワナをキャッチ。
対岸の難しい巻き返しから引きずり出しました。
やりますな・・
その他にも泣き尺のヤマメやらイワナを連発し、これでもか!というほど釣ったので、例によって「切り上げますか!」となったわけです。
翌日は、青森県に程近い小坂川へ行く予定。
なので、今夜の宿は閉伊川の近くにある道の駅「区界高原」に決定。
慣れ親しんだ雫石ともお別れです。
この道の駅の裏手には屋根付き木のテーブルがありまして、食事や宴会に最適です。
写真は、さすらい生活に完璧に順応してしまった檜山さん。
二人で呑んだくれていますと、数台の車がやってきました。
若者グループのようです。
どうやら僕らがいる所が彼らの溜まり場のようでして、エンジンをふかしたりと追い出そうとしています。
わざとらしく大声を出したりと、うるさいこと、この上ありません。
こうなると、こちらも絶対に動くものか!と意地になってしまいます。
我々二人は、まったく気にせず、呑み続けました。
若者達もついに諦めたようで、夜の闇へと消えて行ったのでした。
8月1日
おはようございます。
今日は、何だか天気があまり良くありません。
雨が降りそうな気配です。
朝食にお粥を食べて、さあ出発。
小坂川の支流、荒川川を目指しました。
七滝という観光名所を過ぎると、ようやく喧騒から離れることができ、魚が釣れそうな感じになってきました。
しかし、釣れるのは小さなイワナ、ヤマメのみ。
8月ともなると、魚影はめっきり減るようです。
最大は23cmのイワナ。
雨も強くなってきたので、釣りは止めて十和田湖へドライブしに行きました。
奥入瀬渓谷を抜けると、お土産屋さんが林立しています。
広い駐車場もあったので、無料駐車場入り口という看板にしたがって、野営の支度を始めました。
雨は上がり、空には大粒の星が瞬いています。
しかも、星だけではなく、蛍まで飛び始め、最高の夜でした。
今夜は、またまたラーメン。
ネギが余っていたので、たくさん入れておきました。
ワンタンも入れていたのですが、それをつかむ前に先にネギが箸にまとわりついてくるため、ネギばかりを食べていたのを記憶しております。
あと、山菜おこわ。
この晩は、かなり呑んでしまったので、ご飯を食べ切れませんでした。
寝る前に洗濯物を干そうという話になり、2台の車にロープを張っておきました。
涼しい風にタオルやパンツが揺れています。
8月2日
朝の5時半くらい、僕の車の窓を叩く人がいます。
誰だろう?寝ぼけ眼で外を見ると、知らないおじさんが立っています。
ドアを開けると、おじさんは優しい口調で言いました。
「あのね、ここで暮らしてもらっちゃ困るんだよね」
「すいません、無料駐車場と書いてあったので、つい・・」
「無料駐車場は、この隣。ここはホテルの駐車場だよ」
慌てて見ると、確かにおっしゃる通り。
お詫びを言って、すごすごと退散しました。
仕方なく、川原で朝食を済ませると、次の目的地へ!
移動距離を考えると、時間が勿体無いですが、岩手県の兄川を目指してひた走ります。
兄川。
橋のすぐ下から上流は激スレ。
やはり竿抜けとなりやすい入渓点から少しだけ下流というのが一番良いようです。
ああ、それにしても渋い。
この日は、檜山さんがグッドサイズのヤマメを一匹釣っただけで、あとは皆、小さかったです。
さあ、昼飯です。
この日の食事も麺。
そうめんを腹いっぱい食べました。
川の水で冷やして食べると、おいしいですよ~
この後、僕は車のドア全開で昼寝をし、檜山さんは釣りをしに川へと戻りました。
数匹アブが飛んできましたが、無視。
僕は、深い眠りへと落ちて行きました。
2時間ほど経つと、檜山さんが戻ってきました。釣果は今ひとつとのこと。
温泉に入って、酒呑んで寝ますか!という話になったので、まずは、温泉に浸かって道の駅「鹿角」へ。
いかにも風呂上りですっといった感じでダベっていると、道の駅の従業員さんがやってきました。
僕らの車のナンバーを見て、会話が始まりました。
「神奈川からいらしたんですね。僕も少し前まで東京で働いていたんですよ。ここの名物とも言えるホルモンは食べました?」
「ホルモンが名物なんですか?」
「まあ、名物と言うより、変わっていておいしいので、おすすめですよ」
おすすめのホルモン屋さん「幸楽」の場所を教えてもらいました。
道の駅から歩いて15分程だというので、行ってみようかという話しになりました。
大通りから裏道へ入ると、何やら怪しげな雰囲気の町並みになってきました。
しばらく歩くと、ホルモンの良い匂いがします。我々は、匂いを頼りに歩き、ついに見つけました。
狭い店内には大勢の地元常連客でひしめきあっています。
ホルモン(一人前300円)と野菜を頼み、生ビールを飲みながら待つと、お姉さんが作り方を教えてくれます。
カメラを持っていかなかったので、お見せできなくて残念ですが、とにかく変わった食べ方をします。
メッチャおいしいので、興味のある方は、一度行ってみて下さい。
「幸楽」
秋田県 鹿角市 花輪字堰向5
電話 0186-23-3736
尚、通信販売もやっているので、行けそうに無い方はご利用されると良いかもしれません。
大満足で道の駅に帰り、呑み直しました。
なんてったて檜山さんとの最後の夜です。
明日から再び僕は一人で旅をすることになるのです。
ベンチに腰掛けて呑んでいると、おばちゃんの声がします。
「昔は、結構できたんだけどねえ~」とか言いながら、自販機の前で動き回っています。
そこで、特派員が見たものは・・・
なんと、縄跳びをしてるじゃないですか!
ぬぬっ、なぜ道の駅で縄跳びをしているのかが分らない・・
よし、怪しさ勝負ということだな?
それなら負けねえぞ。
線香花火じゃ!
でも、怪しさで縄跳びには勝てないか・・
おばちゃん、負けたぜ!
こうして秋田の夜はふけていきました。
8月3日
おはようございます。
何だか外がうるさいです。
時計を見ると、まだ5時。
窓の外には、地元のおじさん達が農作業でしょうか、仕事着でたくさん歩いています。
僕らの車に興味を覚えたらしく、たまに覗きに来ます。
眠いので、無視して寝続けました。
再び起きると、7時。
先ほどよりも、ずっと静かです。
8時になると、旅行者と思われる車が、たくさん駐車場に入ってくるようになりました。
檜山さんと地図を見ながら話していると、見知らぬおじさんがやって来ました。
「僕は、岩手の者だけど、道が分らないなら教えてあげるよ」
と、実にさわやかに言ってくださいました。
そこから会話が弾み、おじさんがこれから青森へ向かうことを知りました。
何かのイベントに招待されたというようなことを話していました。
しばらくすると、練馬ナンバーの老夫婦が僕らに道を尋ねてきました。
東北を旅し始めて結構な日にちが経つので、そこそこ詳しくなっています。
聞かれたことは全て答えることができました。
旅は、よいものです。見知らぬ人でも、挨拶や会話を交わせます。
普段できそうで、できない体験なのでしょうね。
数日間、旅を共にした檜山さんとは、ここでお別れです。
下北沢にある長沢さんのお店「ロフト」で再会することを誓って、別れました。
僕は、近くにある夜明島川を目指しました。
釣り券のノボリが立っているお店に入ると、釣果を尋ねました。
すると、そこのおじさんは釣りは全く知らないということで、情報を得ることができませんでした。
仕方なく、自分で入渓点を探すことに。
上流へ行くと、何だかとっても釣れそうな気配が濃厚になってきたので、適当に入渓。
しかし、アブの猛攻撃。
まあまあのイワナが釣れましたが、とても写真なんぞ撮ろうと思いません。
それほど、アブの攻撃が凄いのです。
タオルヌンチャクでも応戦できなくなってきたので、すごすご車に戻りました。
仕方なく、下流の安全な所へ。
見ての通り、下流ははっきりしたポイントがありません。
釣れたのは、小さなヤマメやイワナだけでした。
この日は、土曜日ということもありまして、川には多くの釣り人の姿が見えます。
何だか釣る気が失せてしまったので、慣れ親しんだ雫石に帰ることにしました。
雨が降り始め、炊事が面倒であったので、売店でソバを食べました。
ひとりぼっちは、さみしいものです。
いよいよ、明日からは関東へ向けて出発。
長い東北行脚も終わりがやってきました。
色々な思い出を噛みしめながら、ひとりさみしく呑んだ暮れました・・
8月4日
おはようございます。
今日は朝から雨が降っています。
日曜日ということもあり、色々な車が停まっていました。
戦車とか。
自衛隊の演習でしょうか?
(注)戦車を撮ったのを最後にデジカメのメモリーを使い果たしました。
なので、これ以降は、写真がありませ~ん。
お世話になった道の駅に御礼を言うと、車に乗り込みました。
目指すは関東。
午前7時に雫石を出発。
生保内川付近で豪雨に見舞われ、愛車のデミオは悲鳴を上げていました。
下道を気合いで走ること17時間。
過去最高の速さで神奈川県の座間市に到着。
翌日は、用事があったため、24時間営業の健康ランドの駐車場で仮眠。
東北と違い、蒸し暑い夜でした。
8月5日
東京で用事を済ませると、友人と会う約束であったので、丹沢にある道の駅「山北」へ。
最後の車中泊となりました。
8月6日
ようやく自宅のある静岡へ・・
こうして、長い長い東北行脚は幕を閉じたのでした。
おしまい。