ついに来ました、出発の日が。
8時に目を覚まし、毎朝の日課であるNHKの朝ドラを見終えると、これからしばらく食べないであろう納豆をモグモグ・・
父ちゃんは、会社へ行き、そろそろ出発の時間やねえ~と、のんびりと準備を始めました。初めての海外なので、かなりの余裕を持っての出発です。
飛行機は、ソウル経由の大韓航空。フライト予定は午後5時。
荷物は、アホのように多く、トランクにはアホのように「太郎」と書かれてあります。とっても恥ずかしいのですが、間違えられないようにとの考えです。
この他に35L、70Lのザック。カメラバック、ロッドケース、ハンドバック・・
ちょっと荷物が多すぎたようです・・
一応、家の前で記念撮影。
期待と不安が混ざり合い、緊張してまっす!
さあ、いよいよ出発です。
おかんに新富士駅まで送ってもらい、重い荷物を抱えてホームに立ちました。
巨大な荷物に周囲がビビってます。
え~、実を言うとですね・・
恥ずかしながら、今まで新幹線は修学旅行でしか利用したことが無いんです。
なので切符を買うにも、かなりドキドキでした。まあ、この辺は無事にクリアできました。
よっしゃ、窓際の席を取って見慣れた景色にお別れをするぞ!
満員御礼!
ちっ、窓際の席がねえ・・
仕方ない。通路側でいいか。
漫画を読みふけっているおじさんの向こうを眺め、心の中で「さらば!」と呟くのでした。
さあ東京駅に着きました。
すぐに成田へ行きたいところですが、携帯電話を解約せねばなりません。めんどくせ~
八重洲のJ-PHONEショップへ行き、一番綺麗なお姉さんの窓口へ・・行こうと思ったら、おっさんに割り込まれて隣の窓口へ。
ふう、何とか面倒な用事が済んだ、さあ行きましょうかね、成田へ。
いつもの僕ならば、鈍行列車で行くのですが、今回は半端な荷物ではなかったので、仕方なく成田エクスプレスなる乗り物に乗り込みました。
おお!広い・・
なんと快適な列車なんでしょう!
ほど良い室温が眠気を誘います。しかし、興奮しまくっている僕は寝付けそうにありません。結局、成田へ着いてしまいました。
成田ですじゃ。
初めてっす・・
初めての成田空港の大きさに驚きながら、おのぼりさん丸出しで、きょろきょろしながらチケットを渡されるカウンターへと歩きました。
それにしても、荷物が重い。貧血気味になってきます・・
4時間も前に到着してしまったので、暇です。
荷物を乗せられるカートを見つけたので、ごろごろと転がしながら空港探検を始めました。
暇なので写真なんぞを撮ってしまいました。
この頃は、まだ余裕がありました・・
まさかこの後、大事件が起こるとも知らずに。
チェックインの時間が来たので、早目にしておこうと、カウンターへと向かいました。
お姉さんが、僕の荷物の多さにびっくりしてました。
X線を通し、ヨタヨタと荷物を運ぶと、担当のお姉さんが「ちょっと重さを量りますね」というので、「ちょっとオーバーだと思うので、超過料金を払います」と言っておきました。
「え~と。お客様、これですと9万7千円掛かってしまいますが、よろしいですか?」
へっ?
友人に超過料金何ザいくらもないっしょ!などと言われていただけにショックが大きいです。
目の前が真っ暗になりました。
汗が噴き出し、目が泳ぎ始めます。クロールで。
半べそかきながら、おまけしてもらえないでしょうか?と頼み込むと、お姉さんも気の毒そうな顔をしながら、「一応、これでも数キロサービスしてあるのですが・・」
しばらく考え込んだ後、他のお姉さんらを呼んでくれました。
幸い、早目に手続きをしたために、僕の他にはお客はいません。手が空いているスタッフが多いようでした。
5人のお姉さんが話し合ってます。
「それでは、この大きいザック(70L)に入るだけ入れて、機内持ち込みしてください。ひょっとしたら入国時に料金を取られるかもしれませんが、やってみる価値はあると思います。」
「はい!そうします!!」
とにかく重たいものから詰め始めました。フリースなどかさばるものは、全て着込み、靴下やシャツなどをパンツとズボンの隙間にねじ込んだりと、誰がどう見ても不自然な格好でしたが、何とか収まりが付きました。
運命の鑑定はいかに!
37100円!
バンザイ!大幅にプライスダウン。
お姉さんら5人と手を叩いて喜びました。
大韓航空のお姉さんは、本当にいい人達でした。
ありがとう!
しかし、重い。洒落にならないほど重い。
少し歩くと、吐きそうになるほどです・・
おえっ、おえっと餌付きながら、歩いていくと、すれ違う身軽な人々が好奇の視線を送ってきます。
くそっ、まあ我慢じゃ。飛行機に乗るまでの辛抱じゃ・・
さあ、搭乗の時間になりました。
チケットを渡す時に、僕の荷物を見て係員の目つきが変わりましたが、さっさと乗り込んでしまったので、無事セーフ。
この先、当分見ることはないであろう日本の夕焼けにお別れ。
さらばじゃ・・
席が狭~い!!!!!!!!
エコノミーとはいえ、まさかこれほどとは・・
バスのようです。
僕の巨大な荷物は上の棚に置けないために、膝に挟んでのフライトとなりました。まあ、2時間くらいだし、いいか。
さよなら街の灯よ・・
と、撮ったつもりがガラスに反射してセルフ撮影になってしまった・・
失敗・・
ああ・・荷物が邪魔くさい。
腹も減ってきた。そういや昼飯食ってなかったなあ。
と、そう思っていると、来ました、機内食が!いよっ待ってました!
鶏肉の照り焼き、フルーツ・・
味もなかなかです。
生まれて初めての機内食!
へへへ・・
さあ、あっという間にソウルに到着しました。
ここは外国。そう、初めての異国の地であります。
おおう!さすがに外人が一杯おる。
というか、ここでは僕も外人ですね・・
搭乗の時間がやって来ました。
パスポートの確認をし、機内へ。と思うと、韓国人の姉さんに引き留められ、「パスポートの写真と随分違うけど、本人なの?」
何言いやがる・・本人に決まってるじゃねえかと思いながらも、「もちろん」と答えておきました。しかも、笑顔で。元営業職の悲しい習慣は抜けないようです。
機内潜入を無事に済ませたのでした。
さあ、席はどこだ?窓際かな?
メッチャ真ん中じゃん。
くそ、真ん中かよ。
外の景色が見えないじゃねえか・・
さて、荷物を股に挟んでと。相変わらずエコノミーは狭いッス。がに股状態で10時間ほどのフライトですから、着く頃にはヤクザっぽい歩き方になるのでしょうか・・
空港に着いたら、矯正の為に内股で歩くようにしましょ。
さあ、何とか無事に座席に腰掛けました。隣には韓国人の親子、通路を挟んで隣には、ドイツ人の親子がいました。
みんな僕の荷物を変な目で見ていましたが、無視。知らんぷり。乗っちゃったらこっちのもんだ~い。
飛行機は順調に飛び続け、一路ニュージーランドのオークランドを目指します。
入国カードが配られました。
当然、全てが英語なのでちょいと苦労しました。
入国カードには、持ち込み禁止品などのチェック項目があり、マテリアルやウエダーを持ち込むことを正直に書いておきました。
分らない単語が幾つかありましたが、多分こんな感じだろうという風に適当に書いておきました。
隣の韓国人は、ちょっと分らないことがあったらしく、僕に聞いてきました。
お互いに片言の英語です。
それがきっかけで、仲良くなれました。娘さんと思われる小さい女の子もなついてくれました。
途中、疲れがどっと押し寄せて、ウトウトしてきました。
しか~し。荷物が邪魔なのと、席が狭すぎて眠ることができません。
空港に着いてから、再び過酷な荷物運びが待っているのですから、今の内に眠っておかなければなりません。そうは思っていても眠れない・・がに股状態で足に血が溜まっていくのが、感じられます。
つ、つらい。
そうこうする内に、NZに近づいてきました。
もうすぐだなあ、なんて思っていると、突然、隣の韓国人が騒ぎ始めました。
何だ?と思っていると、女の子が鼻血を出してしまったようでした。
ティッシュを差し出すと、素早くちぎって鼻の穴に突っ込んでました。
それが一段落した頃、今度は隣のドイツ人のおばさんに呼ばれました。
英語で「うちの子が寝ているのが分るだろう?だからお前、荷物を取ってくれ」
と、簡単な英語とぶっちょう面でエラソーに命令したのです。
人にモノを頼む時には、それ相応の言い方があるだろうにとも思いましたが、まあいいか・・と従いました。
さあ、着陸です。
周りが慌しくなってきました。
みんなそれぞれの荷物を小脇に抱えてます。
よっしゃ、僕も荷物を抱えようかな・・
重すぎて不可能です。
ああ、またあの辛い時間がやって来るのか・・
みんなが降りてしまってから、ひとりでヨイショッと担ぎました。
入国早々、汗まみれです。
よっしゃ、まずは免税店で買い物だ。
ウィスキーとタバコを買い、よろよろしながら、荷物を取りに行きました。
なんせ海外は初めて。どういう順番で入国してよいのかなんぞ、全く分りません。
壁に書いてある表示にしたがって適当に進みました。
荷物の受け取りをする前に入国審査がありました。
ちょうど修学旅行かなんかで、日本の高校生軍団のせいで長蛇の列ができてました。マジかよ・・
荷物が死ぬほど重いのだけど・・
高校生がたらたら動くものですから、時間が掛かって仕方がありません。
30分近く待ってようやく済みました・・
よし、ええと。荷物はどこかな?
友達から聞いた話だと、ターンテーブルで荷物が回っている時によく盗まれると聞いていたので、目を光らせていると・・
あれっ、
荷物が出てこない・・
そうです。3つ預けてある荷物が全て出てこないのです!
えらいこっちゃ、苦労して持ち込んだのに。
待てども待てども出てこないので、係員に「荷物が出てこないよう!」と泣きつくと、チケット見せてみろと言うので、渡しました。
「これ、隣のレーンだよ。」
解決。ほんとだ、確かにチケットに書いてあるや。
肩に食い込むザックのパットで頭に血が送られていないせいでしょうか、かなりの大ボケです。
麻薬チェックの犬が荷物を嗅ぎ終えると、無事に次のコーナーへ。
次は、荷物のチェックです。
マテリアルやウエダーなどを申請してあるので、他とは違うカウンターへ案内されました。
NZへのマテリアル持ち込みは、非常に厳しいと聞いています。ただ、完成フライに関してはOKなので、ハックルは、ケープから抜き取ったモノをソルト用の大きなフックに縛りつけ、むりやり完成フライにしました。
本当は、ハックルを頭に縛り付けて、
羽飾りだ。
と、言い張っても面白いかな?と思っていたのですが、間違いなく引っかかるでしょうね・・
そして、緊張の荷物検査・・
ウエダーや靴、マテリアルをさっと一目見て、簡単にOK!
えっ?いいの?
後で聞いた話ですと、普通に店で買ったもの(消毒がされている)で、ワシントン条約に引っ掛かっていない限り、問題ないとのこと。
なんだか拍子抜けしました。
X線を通し、これで全てが完了です。
到着時間から実に1時間半ほども掛かってしまいました・・
それから無事、これからお世話になる馬部さんと合流を果たせました。
とりあえず、これで第一話は終了です。ちなみに荷物の料金は、オークランドでは請求されずに済みました。良かった・・
それでは、次回は、入国後のドタバタを書きます。
お楽しみに!