10月16日
ふう、何とか入国できました・・
オークランドは小雨がぱらついてます。
とんでもなく多い荷物をカートで押しながら、馬部さんの車に向かうと、周りが物珍しそうな視線を送ってきてます。まあ、こんだけの荷物だと、そうなるでしょうねえ。
帆の街と呼ばれるほど、オークランドの港にはヨットが多く、独特な景観がとても美しかったです。
カモメが飛び交い、厚い雲の隙間からは晴れ間が覗いてきました。
当然ですが、街並みは日本とは全く違い、建物一つにいちいち感動しちゃいました。
おお、ついにNZに着いたのだなあ・・と感慨に耽っていたのですが、どうも今ひとつピンときません。
現実味が無いと言いますか・・
こんなものなのでしょうか・・
これから本拠地となるロトルアへ向かう前に、車を手に入れなければなりません。
距離感覚が日本とまるで違うので、車無しの生活は考えられないわけです。
車を買うとなると、大都市で探した方が当然選択枠が広いので、このオークランドで一週間ほど滞在することになりました。
滞在先の家の前には、大きな木があり、とってもお洒落な雰囲気に大満足!
ゆったりとした時間が流れ、日本とは全く違う感じです。
まあとりあえず、荷物の整理をしときましょ。
すげえ量です。よく持ち込んだなあ・・トランクなんて、お店で売っている中で一番大きいものですよ!70Lのザックが小さく見える・・
これからしばらくの間、お世話になるホストファミリー。本当は、もう一人いらっしゃるのですが、シャッターを押してもらったために写ってません。
すぐに仲良しになった、小学1年生のムーちゃんと、猫のネコピー。
彼の名は「ネコピー」「ネコちゃん」とも呼ばれているようです。
おとなしい子で、猫らしく気ままに毎日を過ごしています。
僕の部屋であります。
綺麗で超お洒落!!!
カエルのぬいぐるみが、すげえイカしてます。お洒落だなあ・・
この日は、とりあえずインターネットができるように環境を整え、0時に就寝。
10月17日
今日から早速、車探しです。
初めてNZに来るような人は、情報が無いので、中古屋さんにお世話になるケースが多いらしいのですが、そこは馬部さんがついていてくれるので、オークションという地元の人々が買う手段で安く手に入れるつもりです。
家から、車で15分ほど走ると、オークション会場に到着しました。
受付で車のリストを1ドルで購入。
いざ、会場へ!
釣りに行くので、できれば四駆が欲しいっす。だけど、お金が無いので、安いのを探さないと・・あるかなあ?
一応、狙っているのは、90年代前半のレガシー。リストでは、5000ドル以上のコーナーに書かれてあります。
めぼしをつけた車があれば、隅から隅までチェックします。ボンネットを開けてオイルやラジエター、その他分かる範囲で点検します。これを怠ると、外れに当たる可能性がありますので・・
馬部さんに教えてもらいながら一台ずつ見ていきました。
レガシーは、結構数が出回っており、この日には5台くらいエントリーされていました。大体の値段を聞いてみると、7000ドル以上(約42万円)とのこと。
そんなん予算オーバーだよ・・
まあ、オークションなのでこれは、あくまでも参考価格。下がるのを期待してまーす。
さあ始まりました。
物凄い早口で機関銃のように英語が飛び交っています。
「はじめての英会話」なる教書を手にしているような僕にとって、難しすぎます。
狙っていた車が5500ドルで落ち着きました。ここで手を上げたのですが、持ち主が安く売りたくないとのことで、交渉決裂。
再度、明日チャレンジすることになりました。
それにしても、日が長い!
夜の7時だというのにメッチャ明るいんです。8時半くらいでようやく日没といったところでしょうか。体内時計が、狂っちゃいますね・・
いや、待てよ。釣りの時は長いこと楽しめるじゃないか!バンザイ。
晩御飯も美味!
おいしゅうございます。
10月18日
8時に起床し、朝食を済ますと、馬部さんに言われました。
「よっしゃ、じゃあ今日は一人で車を買いに行ってみよか。」
へっ?
馬部さん、一人って・・僕一人でですか?
「大丈夫だよ、携帯電話も渡しておくし、地図もあるから」
はあ・・、やってみます。
ホストファミリーのITSUKOさんに車を借りて、いざ出陣!
直接、会場へ向かう前にITSUKOさんを病院へ送ってからオークション会場へ向かうことになりました。
それに加えてプリペイド式の携帯が切れていたので、チャージもせねばなりません。
ぬぬっ、ミッションが多いが大丈夫だろうか・・
でも、やるしかありません。車が無いと、釣りに行けませんし。
まずは病院へ。
ここは産婦人科。
生まれて初めて来ましたよ、産婦人科なんて。
全くNZへ来てからというもの、初めてだらけです。
せっかく来たのだから、こっそり記念撮影。受付のおばさんを遠めですが、撮っておきました。
さあ、次はプリペイドカードの購入です。
向かいの本屋さんで売っているとのことなので、一人でトコトコ向かいました。
ターバンを頭に巻いたインド人風のおじちゃんにプリペイドカードをくださいな、と言うと・・
何だか早口の英語で尋ねてきます。何となく聞き取った感じだと、「仕事で使うのですか?」のような感じに聞き取れたので、自信を持って「いいや、プライベートだよ」と答えました。
すると、インドのおっさんが、はあ?というような顔をしています。
それもそのはず。後日、再度買いに行ったのですが、質問の内容は「何処の電話会社のもの?」だったのです。
というわけで・・
全然違うじゃねえか!
インド人もびっくりするわけです。
その後、必死のやり取りの結果、何とかブツを手にすることができました。
めでたし、めでたし。
よし、カードも買ったし、ITSUKOさんにチャージをしてもらおう。
彼女は、慣れた手つきでピポパポとボタンを押し、OK,使えるよと渡してくれました。
これでようやく会場へ行けます。
地図で見ると、簡単そうです。
楽勝じゃんと思いながら、ハンドルを握り、運転をスタート。
初めて海外で運転するのです。気が高ぶり、ハイテンションになってきました。
ラジオからはゴキゲンのサウンドが流れてきます。
あれ、なんか道が大きいなあ・・間違えちゃったかな?と思った時、とんでもないことに気付きました。
高速道路じゃん。
これには、さすがに参りました・・
馬部さんには、「くれぐれも高速なんかに乗っちゃだめだよ。とんでもない所へ行っちゃうからね。」なんて言われていたのに・・
それをやってしまった。
ああ、僕は一体どこへ行くのだろう。
とにかく一番近いインターで降りました。
路肩に駐車し、現在地を確認。
うわあ、とんでもない所へ来てしまった・・
15分で着くはずなのに、大幅に遅れそうだなあ。
見慣れぬ街並み、景色・・どれも同じように見えてしまうので、地図を見てもよく分かりません。
おまけにNZ特有のラウンドアバウトというロータリーなどで、ぐるっと回ったりするので、方向感覚が狂ってしまいます。ああ、どこへ向かっているのだろう・・
看板に地名が出てくるのですが、土地感が無いので、余計混乱するばかりです。
ちくしょう、こうなったらヤケクソだ。適当に走ってやれ!
テレビドラマだったら、主人公はこれで着くはずだ・・
あれっ?
着いちゃった。
うお、すげえ。ホントに着いちゃったよ。冗談みたいだ。
さあ、急がないと、時間が無い!
受付でリストを買うと、走るように会場に駆け込んだのであります。
今回も狙うのはレガシー。
しかし、結局はこの日も値段の折り合いがつかず、断念。しょうがない、普通のセダンにも選択の幅を広げようかなあ・・
まあいい。無事に帰ってから考えよう。
果たして無事に帰れるだろうか・・
案の定、迷ってしまい、どんどんハマっていくのが分ります。
幸い、NZではほとんど全ての道に名前が付いているので、現在地が把握しやすいのですが・・
しかし、どうしても分らない所へと迷い込んでしまいました。
仕方が無い、聞くか!
道を歩いていたおじいちゃんに尋ねると、「おお、迷いなすったか。どれどれ地図を見せてご覧よ」
良かった、助かった・・すると、おじいちゃん。予想外の答えを返してくれました。
老眼で地図が見えんのう。
マジッスか?
おじいちゃん、そりゃないよ・・
でも、「この先に商店街があるから、そこで聞いてみるといいよ」と教えてくれました。
泣きそうな顔で御礼を言うと、再び車へと乗り込みます。
その時、ふと気が付きました。
ガソリンが無い・・(泣)
そうです。エンプティーランプが点灯しています。ああ、なんてこった。
ガソリンスタンドへ行こうと思ったのですが、こんな時は見つからないものです・・
くそお。空になるまでに意地でも帰るしかない!
しかし、どんどんわけの分からない方向へと走っていきます。
ヤケクソで走ると、ようやく通りの名前が分ったので、現在地が確認できました。
紛らわしいことに高速道路や大きな幹線道路が交差していたりしますし、ラウンドアバウトというNZ独自の妙なロータリーのせいで、方向感覚が狂い、おまけに地名なんぞ知らないので、方向音痴の僕は迷い放題です。
目的地と随分かけ離れた方へ出てしまった時、ついに助けてコールをしようと決心しました。本当は何とか自力で帰りたかったのですが。
こんな時、携帯電話(プリペイド式)は非常に便利です。ピポパポとダイヤルすると、音声案内が流れてきました。
この電話は、チャージが切れていて使えましぇ~ん(英語)
なに!!
ITSUKOさんが使えるように設定してくれたんじゃないのか?
ううっ、困った。こりゃ何としてでも自力で帰らねば。
ガソリンが無くなるまでに!
必死で地図をにらみ、帰り道を探します。
けっこう泣きそうです。
初の海外、入国後3日目ということもあり、心細かったのかもしれません。
くそ~、くそ~と言いながら、ハンドルを握り締める僕は、傍から見れば異様な形相だったでしょう。
よっしゃ、こうなりゃ滅茶苦茶作戦だ!ヤケクソだ!!!!!
本能で適当に走り始めました。まるで鮭か鮎です。
すると・・・
うふっ、着いちゃった。
恐るべし、帰巣本能。
人間、追い込まれると何とかなるようです。
死にそうな思いで辿り着き、ヘロヘロになって家に戻ると、部屋に転がり込みました。
疲れた、本当に疲れた・・
しばらくすると、馬部さんが携帯電話を買いに連れて行ってくれるというので、再度出発することになりました。
助手席には、坂本さんという馬部さんのお友達が乗っていました。数ヶ月前からNZで暮らし始めたのことです。
NZ移住の先輩である彼ら二人から、色々な話を聞きながら、商店街の並びにある携帯電話ショップへ向かいました。
お店は、日本と同じような感じです。うっかりカメラを忘れてしまったので、お見せできずに残念です。
こうして無事に電話を手にしたのです。機能は、現在の日本製と比べると、かなり見劣りしますが、別にカメラが付いていたりする必要はありません。話せればいいんです、話せれば。
その後、坂本さん宅へお邪魔し、スカパーの映画を見ました。ケンタッキーをつまみながら。
こちらのケンタッキーには、日本では付いていないポテトの溶けたようなモノがあります。
これをフライドポテトにつけて食べると最高においしいんです。ああ、これも写真でお見せできずに申し訳ありません。
さあ、長い一日が終わりました・・今日はゆっくりと寝ましょう・・
10月19日
起床8時。もっとゆっくり寝ていたかったのですが、早くしないとオークションが始まってしまいます。
この日も車を借りて、一人で会場へ向かいました。ガソリンは昨日、ITSUKOさんがいれてくれていたようで、満タンです。ありがたや~
なんと、特筆すべきは会場まで15分で到着したのです!!
奇跡です。超方向音痴な僕にとっては奇跡以外のなにものでもありません。
顔なじみとなった受付のお姉さんに、ハイな感じで挨拶をすると、リストを購入。
あたかも10年くらいNZに住んでいるかのような顔をして、会場へ入ったのでした。
しか~し。
この日は、出ている車の台数が異常に少なく、狙っていた車も意外なほどの高値がついてしまったので、あえなく断念。
レガシーは、どうあがいても射程距離に入らなかったので、もうスッパリと諦めることにしました。
そして・・
さあ帰りましょう!!行きは、不思議と迷わずに帰れたので、帰りも無事に帰れるのでは?
来た道を辿って帰れば良いものを、この日はご機嫌な感じであったので、少々迷ってもいいから昨日と同じように地図を見ながら、帰ろうっと!!
それが命取り・・
なんと3時間も!
なんでこんなに迷えるのだろう・・方向音痴もたいがいにせい!ってな感じです。
疲れた・・本当に疲れた・・
そのまま眠ってしまいそうだったのですが、ちょいと思い立ってメールを開けてみました。
すると、おお!来てる、来てる。たくさんのメールです。
皆さんからの励ましのメッセージが・・胸に沁みいりました・・
これほど、ありがたいモノはありません。
よし!頑張らねば!!
まだNZ生活は始まったばかりなのですから。
無理しないで気楽にいこう!!
少し時間があったので、家の近くを散歩することにしました。
小奇麗な通りには日本車が、並んでいます。
景色は外国!という感じなのですが、車が日本車ばかりなので、今ひとつ海外であることに現実味がありません。
おっ、お店が立ち並んでいるぞ。
ちょっと入ってみようかな。
駄菓子屋さんのような雰囲気を醸し出したお店には、中国系のおばちゃんがレジに座ってました。
片言の英語で会話をし、ジュースやお菓子を買いました。
はじめてのお買い物です。
ダイニングルームへ行くと、馬部さんが忙しそうに動いています。
なんでもこれから台所のタイル貼りをするとのこと。
何かお手伝いできないかな?と聞いてみると、タイル切りをやらせてもらいました。
初めての体験です。
日本では、大抵の場合、業者に頼むわけですが、NZの人々は、基本的にできる限り自分でやるというのがスタイルのようです。
不器用な僕は、殆ど役に立たず、結局は馬部さんが一人で仕上げました。
とっても綺麗な仕上がりです。
お見事!
今晩はバイキング形式の夕飯です。
アスパラガスとニンジンがびっくりするほど美味で、食べまくりです。
現在、アスパラは旬ということでした。
夜は暖炉の前でお酒をチビリ。
さすらい生活時代とは随分、感じが違っています・・
疲れた体にお酒が入り、気付けば寝ていました・・
これで第2話はおしまいです。
次回は、いよいよ車を手にします。
乞うご期待!