NZガイド修行日記 PR

第11話 釣り人には魚を。

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「今年のNZは冷夏、冷夏・・」と、皆口を揃えて言っています。実際、3月に入ってからは、すっかり秋の気候で、朝晩は冷え込みました。

仕事の方もラストスパート。3月中旬まででついに僕のガイド修行は終わりました。

そして、待望の夏休み!というわけで、今回は、その夏休みのお話。10話から若干、日付が飛びますが・・。(本当はとても重要な日々であったのですが、あえて別の機会に語らせていただきやす)

僕の趣味は旅。釣りももちろんですが、それ以上に好きなのでありマス。
なので、夏休みは憧れの南島へ!
カーフェリーのチケットを予約し、荷物の準備もバッチリ。さあ~出発です。

 

3月16日

朝食は、馬部さんがベーコンを焼いてくれました。アツアツのかりかりベーコンはおいしゅうございます。

 


トランクに荷物を積み終えて、あとは出発を待つばかり。ああ~ドキドキしてきました。久し振りの旅ですもの。

忘れ物は無いかとチェックをして・・さあ!出発です!!

 


出発!

 

途中、ロトルアの町で必要な小物を買い求め、いざフェリー乗り場のある首都ウェリントンへ!

フェリーは翌朝の9時に取っているために、どこかで一泊をするつもりです。予約はしていないのですが、まあ何とかなるでしょう。

 


途中、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地となったランギティケイ川を通り、タイハペの町で昼ごはん。

さらにひた走り、ウェリントンが近づいてきたので、晩御飯と翌日の分の食料をオタキの町のスーパーで買出し。

 


おお~海です!大好きな海が見えました。
目的地まで、あと少し!

 


ついにフェリー乗り場に到着しました。
時間は午後6時。ロトルアから480キロありました。

 

受付などの位置を確認したので、さあ今夜の寝床探しです!

本当は、フェリー乗り場の駐車場で車中泊の予定でしたが、おっかない感じの若者が数人たむろっていたので、断念。少し戻って、キャンプ場を探すことにしました。

しかし、僕が行った所は早々と受付を終えており、仕方なく車中泊をする場所を探す羽目に。

ただ、首都が近いせいか、なかなか安全に野宿できるような場所が見つかりません。時間はどんどん過ぎていき、ついに夕闇が迫ってきました。

その時、たまたま通りかかった場所の夕焼けの綺麗なこと!
ちょっと野宿には向かない場所なのですが、構わず寝ることにしました。

 


ああ、なんて綺麗な夕焼けでしょう。
今夜の寝床は、カップルが愛を囁く海沿いの駐車場で。

 


うう・・しかし、座席が完全に倒れないので後部座席で寝るしかないのです。
狭いよ~、体が痛いよ~・・

 

旅の初日は、夕焼けと星が綺麗な海で。おお~なんてロマンチックな夜でしょう!
開かないサンルーフの覆いを取り除き、寝転がって夜空を眺めます。

こんなに素敵な場所なので当然、カップル達もやってきます。
そして、これまた当然のことながら、それを茶化しにくる奴らもやってきます。

夜中、深い眠りに落ちていると、突然、僕の車をライトで照らし、クラクションを鳴らしながら近づいてきました。ああ~やっぱり起されるのか・・

奴らはきっと僕の車をカップルのそれだと思ったのでしょう。

護身用の包丁を握り締めた東洋人が後部座席から睨みつけると、奴らは予想外の登場人物に驚き、逃げていきました。

これで眠れる・・

 

3月17日

6時起床。フェリーは1時間前にチェックインしなくてはいけないので、(車を載せるので、通常よりも早め)シュラフからハッチして、朝の体操。

まだ薄暗い海沿いの道をウェリントンを目指して走り始めました。時間に余裕があったので、ガソリンを補給しておきます。

チェックインは簡単に済み、そして待ち時間を経てついに船内へ!
カメラを持ってデッキへ出ると、そこにはこれから始まる旅に胸を躍らす人、逆に旅を終えて南島へ帰る人・・様々な人で溢れていました。

 


さらば北島!
しばしの別れじゃ。

 

潮風を顔に受けながら、デッキで遠くを眺めていると、オーストラリアから観光で来ているオジさんが話しかけてきました。皆、フレンドリーです。

その次は、イングランドから来たペニーという名の女の子。
「一人で旅をしてるの?」と、強い風で暴れ放題の長い金髪を押さえながら、彼女は尋ねました。

 


「カメラを持ってるのなら、撮ってよ!」と明るい声で彼女は言いました。
女の子二人でNZを旅しているそうです。
着後、ネルソンへ向かうとのこと。

ペニー:「あなたは一人?」
太郎:「うん。マルイアで友達と合流するまではね」

ヘタクソな英語に付き合ってくれ、小一時間あまりの英語のレッスンでした。

 


この赤ちゃん、なぜか僕の顔がひどくお気に入りのようで、こっちを見る度に足をピコピコ動かして喜んでいます。

天使の微笑みは、とてもキュートで見ているだけで幸せな気分にさせてくれました。
サンキュー、坊や。

 

どこからともなく、怪しげな声が聞こえてきました。
近づいてきます。

ルル~、僕の名前は○×・・(聞き取れなかった)

よく分かりませんが、自己紹介の歌のようです。
「コーヒーはブラックが好きで、仕事は無い~・・」

一体、どんな人が歌ってるんだ?こんな変な歌を・・。

 

 


怪しすぎる。

おじさん、とっても怪しいのだけど・・。
ポケットには、裸の食パンをねじ込んでおり、時折それをかじっては、口に運んでいます。

 

そんなこんなで早くも約3時間の旅が終わり、ついに南島へ上陸。
みんな歓声を上げています。
綺麗な海・・カモメが飛び交っていい感じです。

さあ、翌日はシンさんとマルイアの町で待ち合わせをしています。
距離にして約250キロでしょうか。特に当ても無いので、本日中にマルイア入りをすることにしました。

フェリーから降りると、ブレナイムという大きな町を抜けて、一路山奥のマルイアへ。

途中、綺麗な湖を眺め、ウネウネと続く山道を「徐行運転」で楽しみ、マルイアへ。
待ち合わせのバックパッカーズホテルに泊まろうかと思ったのですが、なんだか薄暗くて営業してるのかな?という感じだったので、パス。

マルイア川の川原に手頃な空き地があったので、そこでキャンプをすることになりました。

 


暗くなる前に食事を済ませておくことに。
というわけで、久々の「さすらいラーメン」登場です。

卵が古いのか、黄身がテレテレです。

 

そして、寝床の準備。
北島とは比較にならないほどサンドフライ(ブユのような虫)が多かったので、奴らの動きが止まる夜まで設営は我慢。

 


空には信じられないほど多くの星が瞬き、すぐ傍には、マルイア川のせせらぎが。
癒されてる・・そんな気がしました。

生き残っていたサンドフライを叩き潰すと、深い眠りに・・

 

3月18日

朝起きて、サンドフライが動き出す前にテントを片付け、朝食。

 


ソーセージ、卵を油で炒めてケチャップをかけて、パンと一緒に。
シンプルですが、おいしいご飯。

食後は、安物のレモンティーを飲んで、一息。
しかし、早くもサンドフライが飛び始めてきたのでイソイソと出発。

 

携帯電話でシンさんに電話をしたのですが、圏外のようでつながりません。恐らく、まだ山から下りてきていないのでしょう。

待ち合わせのバックパッカーズホテル(以下、BP)の駐車場で待つことにしました。

しかし、今までの疲れが溜まっていたのか、知らない内に眠ってしまいました。

起きると、いかん!待ち合わせの時間。
電話は、まだ圏外。あれ?まだ来てないのかな・・と思い、再度眠りの中へ・・。

起きると、BPの前に物凄く気合いの入った汚れ方をしているレガシーが。
間違いなくシンさんの車です。

薄暗いBPの中へ入ると、シンさんはいました。一生懸命に携帯電話をいじっています。
充電ができなくなってしまい、それで修理をしているとのことでした。

どうりで電話が通じないはずだ・・。そのことをシンさんに話して、二人で笑いました。

 

「久し振りです!」
再会を祝って、ノンアルコールで乾杯。
なんせ早速釣りに行くのですから。

居間でおしゃべりをしていると、アイルランド人が入ってきました。

彼も釣り人で、たった今終えて帰ってきたとのことでした。結果は芳しくないそうで、やはりイブニングやらなきゃね!と言ってました。

というわけで、初日のイブニングは3人で。
彼の名はパトリック。大工さんをやっており、半年間働き通し、もう半年をNZで釣りをして過ごすと言う立派な中毒者です。

 


手前がシンさん、奥がパトリック。

 

この日は残念ながら、3人ともノーフィッシュ、ノーバイト。

今夜は久し振りにシャワーを浴びて、さっぱり。
そして、これもまた久々のベッドで一眠り。深い深い眠りに落ちたのでした。

 

3月19日

本日は宿から近いマルイア川の別のポイントへ行くことになっています。
朝食は、サーモンの缶詰と、キャベツを使って適当に済ませ、弁当も同じメニュー。

 


南島らしい開けていて、透明度が高い川です。

人気河川なので、地元の釣り人はもちろん、トロフィークラスのブラウントラウトを求めて世界中から釣り人が来ています。

なので、超ハイプレッシャー!

一日歩いて10匹近く見つけましたが、その内の2匹くらいしか釣りをさせてもらえず、夏の南島の釣りがとてつもなく難しいとは聞いていましたが、それを身を持って体験しました。

結局、この日も二人ともノーフィッシュ。

夏の南島は、多くの釣り人から集中砲火を浴びているために魚はとても神経質になっています。

20メートル手前から近づいて、さあこれから!と思うと、気配を感じ取られて逃げられる始末。

どう釣れっていうんじゃい!と言いたくなります。

時計や金属の反射もご法度なようで、少しでも気配を察知されたらアウトなのです。ニジマスならまだ良いのですが、ブラウントラウトは用心深く、一度ダンマリを決め込むと、まず口を使いません。

ああ~難しい。

夜は、パトリックを交えてビールを飲み、お互いの釣果を報告したのでした。

 


釣り人三人衆!
魚釣りって不思議なもので、国籍が違っても、肌の色が違っていても、言葉が上手く話せなくても、すぐに友達になれてしまう・・不思議・・。

 

3月20日

マルイアの町とパトリックに別れを告げて、マーチソンの町へベースを移すことになりました。

LAZY COWという小奇麗なBPへ。

荷物を部屋に放り込んで、さあ今日はどこへ釣りに行こうか!と相談していると、玄関からBPの関係者と思えるおじさんがやって来ました。

ハ~イ!と挨拶をして、おしゃべりの続きをしていると、おじさんが僕らに向けて「釣り人だろ?」と聞いてきました。

簡単に釣り人と見抜かれました。そして、一言も「釣り場を教えてくれ」とも言っていないにもかかわらず、

 

「釣り場を教えてあげるよ。」

NZはいいところです。
みんな人がいいというか・・

釣りは何と言っても情報が命。それも地元の方のそれは助かります。

僕らが目を輝かせて「モンスターはいる?」と聞くと、「心配するな、いるよ。橋の上から10ポンドクラスが泳いでいるのが見えるはずだ」

頼もしい!!

早速、僕らは目をぎらつかせながら、車に乗り込むと、その川へと向かったのでした。

 


林道を走ること20キロ。
辿り着いた、その川は深いプールが多い、いかにも大物がいます!という場所でした。

橋の上から身を乗り出して川を見つめると、います、います。10ポンドくらいのが。

しかし、こんな場所でどうやって釣るのだろう?

 

とりあえず、それはさて置き、先に簡単にアクセスできる所から入渓しました。
しかし、すぐに牧場の中のプライベートランドに行き当たってしまったので、断念。

引き返して、先ほどの橋の所へ。無理矢理入渓を試みましたが、どうやってもここからでは下に降りられません。そこで、さらに車で下流へ走り、入渓ポイントを探しました。

ありました、ありました!

ほんの少しだけ藪漕ぎをして、川へ。
注意深く川を見て魚を探します。

いました!5ポンドくらいのが岸際で休んでいます。
シンさんが譲ってくれたので、遠慮なくやらせてもらいました。

ティペットは5X。ぎりぎりの細さです。軽くて#18と小さいニンフを付け、フォルスキャスト無しでキャスト。

フライは上手い具合に流れています。投げても逃げられなかったので、これは期待が持てます。大抵はこの作業で全てが終わるので。

そして、ゆっくり口を開けて、フライをくわえました。くわえたような気がしました。

よっしゃ!とアワセましたが、空振り。

そのミスは痛恨の失敗となり、サヨナラ!
恐るべし、南島のブラウン。

その後は、釣りさえもさせてもらえず、ついに夕方。

シンさんはスパイダーマン並みの身軽さで岩をシャカシャカと上り下りし、深いプールに定位していたブラウンをキャッチ!

 


シンさんは一体どうやって降りたんだ?という場所で釣りました。凄すぎです。
やりますな。

 

日没近くになると、今までどこにいたのだろう?と思うほど、ぞろぞろ巨大なブラウンが出てきてライズを始めました。

僕の目の前のプールでも10ポンドくらいの(恐らく80cmほど)魚がライズを繰り返しています。

定位せずにクルージングしていたので、タイミングを見計らってニンフをキャスト。
そして、食いました!

ヒット!!!!!!

しかし、フライが小さく、しかも口が硬いようで、首を数回振られただけでバレてしまいました。

声にならないため息が口からこぼれ、崩れ落ちました。
せっかくのチャンスが・・。

 

その後もライズをしていましたが、何をやっても釣れず、結局この日も僕はノーフィッシュ。

でも、負け惜しみではありませんが、釣れなくても楽しかったです。
北島には無い光景、巨大すぎる鱒・・。全てが新鮮で一日中ドキドキしてました。

暗い釣り人小道を小さなライトを照らして車へ・・。

 

あれ?
なんか巨大な影が!

なんだ牛か・・。

どうせ、柵の中だろうし、気にすることないや。
しかし、奴らは妙に興奮した声で啼いています。
もう一度、闇の中、目を凝らして見てみました。

 

 

柵から出てるじゃん!

やべえ・・。
ブル(雄牛)だと厄介です。
奴らに跳ね飛ばされた釣り人の話はよく聞いています。

彼らを刺激しないようにこっそり歩いて車に乗り込みました。

何とか無事に車へ。
ふう・・。
まったく、ちゃんと柵の中に入ってろよな・・。この不良牛が。

 

宿に帰ると、昼間の閑散ぶりが嘘のように旅人で賑わっていました。

キッチンで日本人の女の子とたまたま話をしたら、その子らが何と僕が通っていた高校の近くに住んでいたことが分りました。しかも僕と同い年だったので大盛り上がり!

世の中広いようで、意外と狭いのですねえ。

夜は、超マニアックな地元ネタで盛り上がり、僕の高校時代のマドンナ「ユカちゃん」話で更に盛り上がりました。

 


とりあえず皆で記念撮影。

 

3月21日

朝起きると、彼女らはすでに発っており、カウンターにはオニギリと置手紙が。


「良かったら、食べてください」
と一言。

ありがとう!おいしかったよ~!!

 

さあ、飽きずに今日も釣りです。
今日こそ釣ってやる!

宿から近い某有名河川へ。
しかし、ここは渇水で釣りにならず、釣れても小さいのばかり。
ちなみに一匹、釣れました。サイズは10センチ・・

川を変えようということで、一度車に乗り込みました。
道路マップを見ながら、多分この辺かな?とか言いながら、川を探します。

その内、橋に出ました。
とりあえず覗いてみようよということで、橋から再び身を乗り出して下を眺めてみました。

おっ、いるいる。
ここもまた、でかい!
巨大なブラウンが悠然と泳いでいるじゃないですか。

早速釣り道具を持って、下へ降りようと試みました。

しかし、足場が狭く、一人しか無理なようだったので、僕は趣味の写真を撮ることにし、シンさんに釣ってもらうことになりました。(実は僕は高い所が苦手なので、それを理由に譲ったといった方が正解もしれませんが)

上から僕が鱒の位置を告げて、シンさんがキャスト。
しかし、気ままにクルージングしている奴らの前にフライを落とすのは至難の業です。

何度かトライしていると、対岸から髭もじゃのおじさんがやってきました。

「ハロ~!」
「釣りかね?そこでやってても難しいから、ついておいで。良いポイントを教えて進ぜよう・・」と、ふと下にいるシンさんを見て、細い目がカッと開きました。

「ワシはあの若者を知っておるぞ。ネルソンで逢ったのだ!日本人の若い女の子と一緒にいたぞよ」

そう言い終えるや否や、シンさんの方へ。半ズボンしかはいていないので、ブラックベリーで足は傷だらけになり、血まで流しながら・・。

「おお~久し振りじゃのう。元気にしとったかね?」
「??おじさん、多分人違いじゃないかな?僕はおじさんには逢ってないよ。」

「そんなはずはないはずじゃ。日本人の女の子と一緒だったろ?」
「そうだといいのだけど、ごめんね、おじさん。やっぱり人違いだよ」

「そうか・・」とおじさんは、寂しそうに呟いたが、やがて気を取り直して、「ここよりも良いポイントがある。そこへ案内してやるぞ!」

おじさんは、足から血を流しながら、さらに藪を掻き分け、先導してくれました。

着いた場所は確かに大物の気配が漂っています。
昨日のBPのおじさんといい、NZの人はなんて良い人が多いのでしょう。

「NZの人は、なんで皆こんなに親切なの?」
と、シンさんが尋ねると、おじさんはケロッとした顔で答えました。

 

「だって釣り人には、釣って欲しいだろ?」

僕らは何も言えませんでした。

生き馬の目を抜く、世知辛いこのご時世。
僕は知らない内に人間らしい感覚を少し失っていたのかもしれません。
おじさん、ありがとう・・。

釣り場を教えてくれたおじさんは、「それじゃワシは仕事に戻るわい」と言って、バックパックからフライパンを取り出しました。

 


砂金採りが仕事のようです。

 

結局、数時間頑張りましたが、二人とも魚の顔を拝むことはできませんでした。
でも、そんなことはどうだっていいような・・満たされた心で宿へ。

宿に帰えると、おじさんが夕方だけのとっておきの場所を教えてくれました。

とりあえず行きましたが、何となくすでに満たされていたので、二人とも「もう、いいや。帰ろうよ」ということになり、温かいご飯を食べて寝ました。

この日もBPでは多くの旅人で賑わっていました。
背の高いイングランドのカップルがおり、彼らとはまた後日逢うことになるのですが、これはまた別の機会に。

 

3月22日

本日はシンさんと一緒に釣りをする最後の日。
暗くなって宿を探すのは面倒なので、明るい内にキャンプ場の予約を済ませておきました。

湖畔にある静かなキャンプ場。一泊8ドル也。


今日も天気が良いので、快適なキャンプができそうです。

 

午後よりWairau川へ。
オフロードを走るので、僕の車ではなくシンさんの車で行くことになりました。

舗装路が終わると、石ゴロゴロのオフロードへ。
僕らは、殆どこんな道を走っているような気がします・・。

 


北島とは違う風景。
ひたすら魚を探しながら歩き通します。
釣りよりも、むしろトレッキングです。

写真に写っているのは僕です。

 

この日は、魚を見つけられず、結局ブラインドでニンフを投げ込みました。
二人とも30センチほどのブラウンをキャッチ。

でも、ブラインドで釣ってしまうと、なんだか今までの苦労が否定されたような気がして、嬉しいには嬉しいのですが、複雑な気分でした。

やっぱりサイトフィッシングで釣りたい!
そんなことを話しながら、ドライフルーツをかじっていた時でした。

突然、目の前のプールに黒い影が浮き、水飛沫が上がりました。
何だ!?

とてつもなく大きなブラウンが2匹。
追いかけっこをしています。

時期的にシーランブラウン(降海型のブラウントラウトで、ちょこっと海へ行って、たらふく餌を食べて大きくなり、再び川へ戻ってくる輩)ではないかとのこと。

目の前にストリーマーを投げ込んで、リアクションバイトを狙ったのですが、不発。追いかけっこに夢中の彼らには何をやってもダメなようでした。

帰ろっか。

晩御飯の食材をガソリンスタンド兼スーパーで買い、キャンプ場へ。
NZで二人して釣りをするのは最後なので、景気良くステーキでも食べるべえ!ということになりました。

「シンさん、すっげえ~美味しそうに食べてるところを写真に撮るよ!」

 


シンさんは、ばっちり応えてくれました。
安物の肉なので噛み切れませんが、そこは気合いで乗り切ります。

夜は静かに更けていきました。

 

3月23日

昨晩の米の残りをお茶漬けにして食べ、お互いに写真を撮りあって近くのガソリンスタンドで別れました。

『また、逢える。』
別れは悲しいものではなく、ちょっぴり寂しいだけのこと。
次に逢うのは、日本の川ですね!

南島旅行の第一幕は、シンさんとの別れと共に閉じました。
これからしばらく一人の旅が続きます。

ということで、きりがいいので第11話は、これでおしまい。