NZガイド修行日記 PR

第8話 涙のカレーライス

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NZでは、いよいよ本格的なシーズンイン!
仕事の方も忙しくなってきました。

今回は、そんな忙しい毎日を振り返ってみるとします。ただ、ガイドの仕事中は写真を撮る暇が殆ど無いので、テキスト中心となってしまいますが、お許しください。

 

12月1日

この日は、久し振りに朝ゆっくりしました。

しかし、いつまでもゴロゴロしているのは時間の無駄です。今月後半に正式なガイドデビューを控えているので、それまでにきっちりと下調べをしておかなければなりません。
10時までに支度を整えて、下見の釣りへ出発!

そういえば、インジケーターやティペットが切れていたのを思い出し、町に寄って買ってきました。

インジケーターのオススメは粘土状で硬いものです。柔らかいのは形を整えやすいのですが、キャスティング中に無くなってしまう事が多いです。

出国前に多くの方から言われていたので覚悟はしていましたが、NZの釣具は高く、日本ほど種類はありません。なので、お越しの際は、こちらで買う必要が無いように万全の準備でお臨みください。

今日はムルパラ方面の下見です。
ムルパラには、大勢のガイドがすでにいるために、新参者である僕が入り込む余地は殆ど無いようです。

あっても、難しい川(魚はたくさんいるのですが、釣るのが非常に難しい!でも、究極のサイトフィッシングなので、その手が好きな方にはタマラナイ!かもしれません)であったりします。

しかし、確実に魚がいるという場所を確保でき、且つ、必ず釣れるというメソッドが分れば、これほど心強いことはありません。

しかも、難しい川は、当然みんな釣れないので、魚は超一級です。

この川を僕はガイドの川にすることに決め、必殺メソッドを編み出すためにあらゆる釣り方を試みることにしました。

 

12月2日

デビュー戦まで時間がありません。少しでも早く起きて一日を有効に使おうと、せっせと弁当を作り、出発。今日も地図と睨めっこをしながら、ひたすら歩き通した一日でした。

しかし、鱒がいる川を発見できず。


居そうで居ない川・・

 

12月3日

今日は、朝から釣りに行かず、銀行口座を開きに行きました。
ロトルア市内の「BANK OF NEW ZEALAND」銀行へ。

しかし、普通口座しか持ったことが無い僕は、当座預金、小切手・・など、わけが分かりません。

結局、馬部さんに教えてもらいながら小切手用と普通の二つの口座を開きました。

預金通帳は無く、何だか薄っぺらな紙のカードを渡され、後日、カードができたら暗証番号を決めてもらうからまた来てくださいと言われました。

午後より再び、川探しのドライブへ・・
日本と距離の感覚が全く違うので、ガソリン代だけでとんでもない額になりそうです(泣)

ちなみにガソリン代は、レギュラーで日本円にして65円くらいでしょうか。安いのは助かるのですが、2日に一度のペースで給油していますので、参っちゃいます・・

 


毎日のハードな釣行(殆ど竿を出していませんが…)によりボロボロのウェダー。写真では分りにくいのですが、アクアシールで補修しまくってます・・
かかとの部分は磨り減って薄っぺらっす~。

 

12月4日

この日も、朝から川探しへ!
ムルパラ以外の新天地を求めてGO!

しかし、なかなか見つかるものではありません。
そんな時、友人のシンさんからのアドバイスを思い出しました。

「普通の川だと、一般の釣り人も入るから、牧場の中などの私有地で、許可を貰って釣りをするのが一番では?」

なるほど!
しかし、英語が・・え~い。何とかするしかありましぇん!!

地図を見て、土地のオーナーと思われる家に突撃!

道路沿いの門前に車を横付け。
プジョーから降りたのは、怪しげなチョビ髭の日本人。
スタスタ門から遥か遠い玄関を目指します。

ちょうど台所で食事をしていた白人家族と目が合いました。
やあ!という感じで手を上げて挨拶。
玄関で待っていると、ドアが開きました。

外人:「やあ!道に迷ったのかい?」
僕:「うんにゃ、え~あたくし釣りです。ニジマスが好きです・・釣りやっていいか?」

地図を見せながら、物凄く適当な英語で会話が始まりました。
食事中にもかかわらず、親切に応対してくれ、ついに許可を得ました。

やった~!これで目の前にあるスプリングクリークには入れるぞ!!
喜び勇んで高速といえるような速さで支度を済ませると、いざ川へ!

柵を越え・・

 

 

ドンッ!

柵に触れた途端、体中に電気の衝撃が走りました。
白人のおじちゃんが、遠目に気付いたようで、「電気柵には触らんように気を付けるんじゃぞ~」

 

早く言ってくれ。

ああ~、それにしてもビックリしました。
目の前には綺麗なスプリングクリークが広がっています。
雑誌でしか見たことが無いような綺麗な川です・・

さあ行くぞ!
と一歩足を踏み出した瞬間・・

ズボッ!!なんといきなり太腿まで沈みました。しかも、シルトが堆積していて臭い!!!

近くの草を掴むと、これがまた、スパスパ切れるような草で手は血まみれ・・となるはずでしたが、以前の教訓より、なんと手袋を装備していたのです!

この作戦は我ながら大成功!
草を掴んで我が身を泥から引きずり出すと、岸へと這い上がりました。

ふう、危なかった・・と、もたれかかりました。

 

 

電気柵に。

途端に背中に衝撃が走りました。
びっくりして、そのまま先ほどの沼にダイブ!

幸い、コントのように顔からは行きませんでしたが・・最悪です・・

しかし、ここで負けてはいられません。
何とか魚が釣れるポイントを開拓しなければ!

でも、残念なことに結局この日は、ただの一匹も魚を見つけることはできませんでした。

 

12月5日

宿泊のお客さんの予約が増えてきたので、シーツなどが足りなくなってきました。
そこで、今日はロトルアの町へお買い物。
そして、夕方。

庭で何やら聞き慣れない声がします。
ぐわあ、ぐわあ・・
間違いなく羊でも馬でも牛でもありません。

その正体は・・

 


アヒルでした~。

 


近所で飼っているのが、散歩に来たようで、列を作ってお尻フリフリ。とてもカワイイです!

余っていたパンをあげると、喜んで食べてました。

 


パンだけを与えると、喉を詰まらせてしまうらしいので、水も補給。

しかし、この家には色んな動物達がやってきます。次は何が来るのだろう・・

 

12月6日

馬部さんは、用事があってオークランドへ。

朝、目を覚ますと、仲間からはぐれてしまったようで、一羽のアヒルが裏庭にいました。パンと水をあげると、僕は釣りの準備。

この日も、川探しのドライブです。ドライブとトレッキングに終始した一日でした。

 

12月7日

さすがに疲れが溜まってきたので、今朝は8時まで熟睡・・
午前中は、HPの更新や写真の整理に没頭。

午後より、一人で川探しへ・・この日も収穫なし。収穫と言えば、釣れない川が分ったことくらいでしょうか…。

 

12月8日

今日は、友人のトシさんとロトルアの川へ釣りに行く予定。
しかし、朝から土砂降りの大雨・・
さすがに午前中は大人しくしていようと思い、家事に専念。

大雨により、川はカフェ色に濁っており、魚信はありませんでしたが、楽しい一日でした。
やっぱり釣りは気の合う仲間と行くのが一番です!

 

12月9日

今日から5日間、我がロッジにご宿泊の予定の斉藤さん夫妻がお越しになりました。

なんと到着早々、半日釣りをされるとのこと。そのバイタリティーには脱帽です。僕だったらビール飲んで寝てるでしょう・・

そして、宿係としての毎日が過ぎていきました。

朝4時半に起きて朝食、釣りの弁当を作ります。
皆さんを送り出してから、自分の朝食をとり、掃除、シーツの洗濯・・
そして、買出しと晩御飯の下準備。

まだ慣れていないので、これだけでもヒーヒー言ってしまいます。

 

そして、釣りから戻ってこられたら、まずはビールとおつまみを出し、晩御飯を作り始めます。

台所で作業をしながら、今日の釣りはどうでした?などと会話をするのは、同じ釣り好きとして楽しい時間です。

皆が食べ終わり、片づけをしながら手早く晩御飯をかき込みます。早くしないと、翌日に響くので、急がなくてはいけません。翌朝のテーブルセットを終えると、ようやく就寝。

5日の日程のうち、奥様が一日休息したいとのことで、急遽僕が市内観光ガイドをすることになりました。と、言いましても、川ばかり行って観光地など知りません。どうしましょ・・

すると、奥様は「観光地よりも、普段の生活シーンを見たいから、町やスーパーに連れて行ってください」と言ってくれるではありませんか!

助かった・・
町とスーパーなら任せてください!

ケンタッキーをパクつきながら、ロトルア湖畔のカモメを眺めたりして、のんびりした時間が過ぎていきました。最後にスーパーに行き、僕は晩御飯の買い物をし、ガイド終了~!

こんな感じであっという間に5日が過ぎていきました。
5日も同じ屋根の下で寝ていますと、別れは寂しいものです。
またお会いできることを願って、さようなら!

 

12月13日

斉藤さんご夫妻を乗せた車はオークランドへ。馬部さんは一泊してから帰るとのことなので、僕は留守番。宿係の仕事として、家事に専念。

掃除、洗濯・・
ふう、疲れました・・

一日が中途半端に余っていたので、この日は休息日にしようと、本を読んだりと、のんびり過ごしました。

 


川のほとりで読書。NZに行ったら、やろうと思ってたんですよ!

 

12月14日

昨日は、たっぷりと休んだので、今日も朝から川探しの旅です。
再度、牧場内を流れるプライベートエリアを探ったのですが、収穫なし。

 

12月15日

馬部さんが持って帰ってきた荷物の搬入とテーブルやイスのセットを午前中に片付け、午後より単独で川へ。現在のNZは日が長いので9時頃まで川にいられます。

しかし、そこまでいると、体が持たないので適当に見切りをつけて終了。
この日は、少しだけ収穫あり。

 

12月16日

今日は、トレッキング半分、釣り半分という感じの山奥の川へ探索の旅。
魚影も幾つか確認でき、釣り方も分ったので、ガイドの川として本格的に調べるつもりです。

 

12月17日

この日は、夜遅くに友人の牧田さんが遊びに来てくれることになっていましたし、花粉がひどく鼻水と涙で参っていたので、早めに釣りから帰りました。

牧田さんは、トンガリロ川で知り合ったシンさんの友人です。

夜はシンさんも遊びに来てくれました。手には映画「指輪物語」のDVDが・・
この時、初めて知ったのですが、この映画は俳優以外は全てNZ製らしいです。

わあ~綺麗な所だなあと思っていた所は何と現在自分が住んでいるニュージーランド!
ビックらこきました。

牧田さんは、ここしばらく仕事が忙しかったようで、殆ど寝ていない様子。
日本からいらっしゃった彼の先輩をガイドするという大仕事もこなさなくてはならず、かなり大変そうでした。お疲れ様です!

 

12月18日

今日は、久し振りにムルパラ方面へ。
ランギタイキ川で日本人のラフティングガイドの人達と会いました。

彼らは、日本がオフの間、NZへ来て仕事をしたり、トレーニングをするそうです。

しっかし、この日は雨がひどく、雨から逃れるように幾つかの釣り場をさすらう羽目になりました。

あ~ちかれた。

 

12月19日

仕事の釣りだけですと、精神的に良くないので、シンさんとロトルア湖へ釣りに行きました。

まだ時期的に早かったようで、魚の反応はありませんでしたが、とにかく楽しい時間を過ごせました。

シンさん、ありがとう~!!

 

12月20日

今日も朝から川探しの旅。先日買った新しい5万分の1スケールの地図を片手に車で走り回ります・・

前回、行った時に目星をつけていた川を本格的に探り、ようやくガイドができそうな川を見つけました!

バンザ~イ!!

 

12月21日

そして、ついにガイドデビューの前日。
馬部さんと川へ最終チェックに向かいました。

夜は、明日からお世話になる室越さん、宮川さん、中野さん達と、ロトルアの町でディナー。

翌日から良い釣りができることを祈って乾杯!

 

12月22日

来ました。
ついにデビュー戦です。

今まで散々、歩きまくって見つけた川へご案内です。
お魚さん、ちゃんと居てよね・・

 

7時半にホテルへ迎えに行き、車に乗り込みました。
僕は、宮川さんお一人をガイドすることになりました。

ライセンスが無かったので、まずは皆でムルパラへ行き、ガソリンスタンドで購入。ついでにガソリンも入れておきました。

そして、馬部さん、僕の車は別々の方向へ走り始めました。

 

さて、川に到着しますと、とっても幸運なことに魚の姿が多く見られます。
おまけにライズを繰り返してます!
虫も景気良く飛んでくれ、魚の活性も高いようです。

早速、支度を整えると、宮川さんと川へ。
この川はサイトフィッシングメインで、半分がストーキング、残りの半分がキャストで決まるという難易度超A級です。

実績のあるフライを渡し、まずは岸際に定位している40cmほどのブラウンに目標を絞りました。

許されるキャストは多くても2回。ミスしたら、さよならです。

一昔前の雑誌などには、NZでは大きなフライを投げて沈めれば必ず釣れる豪快な釣りができるぞ~!というようなことが吹聴されており、僕もそう信じていた一人だったのですが・・

確かに然るべき所に行けば、そういう釣りもできるでしょうが、現実は一発勝負です。しかも、竿を寝かせて魚の真後ろから近づくようなこともしなくてはいけません。

そして、ファーストキャスト。正確に鼻面へ!宮川さん、やりますな・・

ところが先ほどまでライズをしていた奴は、突然底の藻をほじり始めました。悲しいことにフライは、そのまま通過・・

底をほじくっていたブラウンは、何かを感じ取ったのか、静かに深みへと消えていきました。

次に狙った鱒も同じでしたが、そいつの向こう側にいる流芯に定位し、おまけにライズまでしてくれている珍しいブラウンを発見!

少しロングキャストですが、うまい具合にレーンに乗りました。
そして、フライは静かに口へ吸い込まれて・・

ヒット!

しかし、凄まじいブラウンの抵抗によりブレイク・・
その後も何度かフッキングをしたのですが、無念のバラシ。

なんでバラすの?と不思議に思われる方が多いと思います。強いんです、ホント。これが鱒本来の姿なのでしょうね・・海外初の僕は、そう実感いたしました。

ヘタクソな僕なんぞは、魚を釣り上げる「釣り人」ではなく、バラシてしまうので「教育係」としてNZへ来たのかなあ?などと思ってしまいます。

 


昼食風景。
その後は、少し風が強くなり始め、釣りを断念。
他の川へ・・

 


結局この日は、ノーフィッシュ。
すいません、僕のガイドが下手なせいで・・

自分が釣るのも難しいですけど、人に釣ってもらうのって、もっと難しいですね・・

 

12月23日

僕はガイドが無い日なので、のんびりと・・と言いたい所ですが、この日からロッジに宿泊されるお客さんがお越しになります。

ロトルアのインフォメーションセンターにお迎えにあがる予定です。
なので、宿の支度をしなくてはいけません。

掃除、ベッドメイク・・何とか片付けると、町へ・・
無事にミッションクリアです。

お客さんは、三上さんと、大江さん。お二人ともベテランのフライマンです。
車中、NZでの生活や釣りの話をしながら、ロッジへと向かいました。

僕の日本での釣り行脚での話になると、寒河江川が出てきました。なんと三上さんは、毎週のように、かの川へと釣りに行かれているそうで、ひょっとしたら会っていたのかもしれませんね!などと3人で大いに盛り上がりました。

明日から2日間、三上さんと大江さんはダニエルというムルパラの若いガイドと釣りをすることになっています。

ダニエルは70キロ離れたムルパラから当日の朝迎えに来るのは大変なので、本日は我がロッジに宿泊予定。

そして、午後7時過ぎに彼はやってきました。

 


彼の身長は2メートルと数センチ。
でかすぎます。スリッパに足が納まらないので、彼だけ裸足。

釣り人同士というのもあってか、三上さんも、大江さんもダニエル(通称ダン)とすぐに打ち解け、みんなで楽しい食事となりました。

 

さあ、でも、のんびりしてはいられません。
明日から僕もガイドです。
翌朝のテーブルセットを終えて、0時に就寝。

 

12月24日

今日は、クリスマスイブ。あ~そんなイベントもあったなあ、と思いながら、あたふたと準備。

朝食と8人分の弁当を作り、出発!

本日、僕は室越さんをガイドすることになりました。
目的の川は、ムルパラではないスプリングクリークです。
川の規模は小さく、魚は最大で50cmほどが釣れる所です。

とりあえず50cmほどのニジマスは掛かりましたが、無念のブレイク。その他に釣れるのは皆小さい魚ばかり・・。

この日はどういうわけだか、いつも居るはずのポイントにいません。いても妙にスプーキーだったりします。

調子が良くないので、午後から川を変えることにしました。

今度も同じくスプリングクリークなのですが、ここは魚影の濃さはピカイチです。
60cm近い鱒が泳いでいるのも見えました。しか~し、口を使わない。

相当いじめられているのか、ふてくされて底に沈みっぱなしです。時間ギリギリまでやりましたが、結局、この日も芳しい釣果を上げることなく、終了・・

はあ・・人に釣ってもらうのって難しい・・
まだまだ未熟なようです。

 

12月25日

今日はクリスマス。一年で一番釣り人が少ない日です。
なので、魚はたくさん居るけど、いつもプレッシャーが高くて入れないという川へ直行。案の定、誰もおらず、僕は安堵したのでした。

宮川さんを連れて川へ。
おお、いるいる。流芯や暗がりには魚影が見えます。さすが人気河川。人がいなけりゃ最高ですね!

お蔭様で、今回はアベレージで45cmほどのニジマスを数本掛けてもらいました。
魚を持って記念撮影!ふう、まずは一安心です。

お客さんに釣ってもらった瞬間は、ガイドにとって一番嬉しい時なんだなあと、しみじみ思いました。

まだ、4回しか経験はないですけど、未熟者なりにそう思ったのでした。

宮川さんの笑顔が、僕にとっては最高のクリスマスプレゼントでした。

しかし、今日はこれで終わりではありません。
急いで帰って、今度は宿泊の準備をしなくてはいけないのです。

馬部さん組、ダニエル組が帰ってくるまでに夕飯の支度をせねば!
大忙しです(笑)

 

12月26日

僕はガイドが無い日なので、宿係のみです。
朝食、弁当を作り終えると、掃除や洗濯に取り掛かりました。

三上さん、大江さんにとって今夜はロトルア最後の夜です。頑張っておいしいご飯を作らなければ!

今晩は、インターネットでレシピを調べて、特製ローストチキンを作りました。
三上さんと大江さんに「おいしいです」と言われた時は、本当に嬉しかったです。

「おいしいです」この一言で、疲れはぶっ飛びます!

 

12月27日

朝、三上さんと大江さんとお別れする時間がやってきました。

楽しい会話が弾んだ分、別れは悲しくなるものです・・寒河江で一緒に釣りをしましょう!と、再会を誓ってお別れしました。

さて、洗濯と掃除です!
掃除機をかけ終わり、洗濯機がピーピー言う前に久し振りにメールをチェックしました。

洗濯を終える頃になって、用事に出ていた馬部さんが帰ってきました。

 

「よっしゃ、釣りに行こうか!」

今日は、馬部さん所有のボートで出撃です。
車で走ること1時間。ダム湖のボートランプに到着し、出発!

 


このボートが速い、速い!
まともに顔を突き出していると、息ができないほどです。

 

これで川を遡り、陸からではアプローチできない聖域へキャスト!
しかし、あまり釣れず。

何度か移動を繰り返した時、今までの疲れが溜まっていたのか、足を滑らし、川へ・・

 

 

ナチュラルドリフト&フラッタリング。

ウェーダーを履いたままであったので、パニックになりそうでした。
しかし、幸いライフジャケットを着ていたので、事なきを得ましたが、さすがに怖かったですね・・

足が浮いて、ひっくり返りそうになるんです。ライフジャケットを着ていなかったらと思うと、足が震えますね・・。

陸に上がったら、今度は低体温症になり、体が震え始めました。たまたま下流にムルパラのガイド、グラームさんがいたので、彼とそのお客さんに助けてもらいました。

ありがとうございました~・・・

 

12月28日

仕事も一区切りがつき、やっと自由な時間ができました。
シンさんとトシさんは元気かな?と思って、顔を出すと、大掃除をしていました。

そういえば、年明けにアパートを引き払うって言ってたなあ・・

トシさんは、1月にワーホリのビザが切れてしまうので、その前にシンさんと旅行に行くようです。

シンさんのビザは4月まで・・彼は旅行が終わったら南島へ行くそうです。

「タロちゃんも、どうだい?」と誘われたのですが、残念ながら日程的に参加できそうにありません・・

せっかく知り合えたのに、お別れか・・
心優しい彼らは、釣り仲間であり、僕の良き相談相手になってくれました。

 


シンさんと僕。
知り合ってから、釣り、生活面や英語など色々なことを教えてくれたのはシンさんでした。
彼の大らかで優しい人柄に助けられたのは、きっと僕だけでは無いでしょう。

 


「よう、タロちゃん!」

辛いことがあっても、シンさんと話してると全部どっかに飛んで行っちゃいます。

 


トシさんと僕。
ロトルアのプロショップ「オキフィーズ」に単身切り込み、そして仕事を勝ち得た行動派のトシさん。

ガイドもやっているので、釣りをはじめ生活上のことなど色々とアドバイスをもらいました。穏やかで親切な人柄に、多くのお客さんの支持を得るカリスマ店員です。

 


「タロちゃん、コーヒーでも飲んでくかい?」

同業であるにも関わらず、貴重な釣り場情報を教えてくれたトシさん。仕事や生活・・あらゆる場面でトシさんに助けてもらいました。

 

「みんな、いなくなっていくんだねえ」
シンさんは、しんみりと呟きました。視線の先にはテーブルにある一枚のクリスマスカード。

僕は会ったことが無い人なのですが、ヒロシさんというロトルアで知り合った友人からのカードらしいです。

ヒロシさんは、シンさんとトシさんからフライフィッシングを習い、そして、ご多聞に漏れずハマリました(笑)。

彼は、後に友人をガイドするまでに腕を上げたのですが・・

 

シンさん:「えっとね、ヒロシ君がさ、こんなことを書いているんだよ」

以下、抜粋。
「お二人から習ったフライフィシング。友達をガイドして釣ってもらった時、初めてお二人に恩返しできた気がしました。多くの素晴らしい出逢いをくれたロトルアに感謝!」

「粋だよね」と、トシさんは静かに笑いました。

シンさん:「いや~タロちゃん、何もせんとただ座っとるだけなのに鼻水やら涙が出てくるのは、花粉症なのかなあ~?いかんな~、俺も花粉症になったんかな~?」

この時、あらゆる思いが交錯して目に涙を浮べている僕に気付いたシンさんは、そう言ってタバコを吸いに外へ行きました。

今まで滅多なことでは泣きませんでした。まあ、え~年こいた男がポロポロ泣いてちゃ格好がつきません。

退職する時に別れた会社の仲間、送別会や壮行会まで開いてくださった多くの元お客さん方、友人、釣り仲間・・あの時は必死で、必死で笑って堪えられたのに・・

日本から温かいエールを送ってくれる大勢の仲間達への感謝。
ヒロシさんの粋なカード。彼の純粋なまでの優しさ。

そして、NZでできた最高の友達シンさん、トシさんとの別れ(と言っても、近日中に会えるのですが)。

 

多くの人に支えられているから、僕は今、旅ができるのだ。

今更ながら、そう認識すると・・

色々な思いが複雑に絡み合い、今まで我慢していた涙が溢れました。
一度泣き出すと、止まらないんです、これが(笑)

トシさんとシンさんが、肩を叩いて優しい言葉を掛けてくれるのですが・・

 

涙、止まんね~っす。

トシさん:「タロちゃん、今日、ロトルア湖行くか?多分、釣れねーけど行くか?」
シンさん:「おお、多分しょっぺ~だろうなあ(笑)」

とりあえず、涙はしょっぱいっす。

僕は泣き咽びながら、無言で頷きました。
一度、家に帰り、湖用の装備を整えて再度、彼らの家へ。

出発前に腹ごしらえしようぜ!ということになり、彼らの作ったカレーをご馳走になりました。

トシさん:「あんまり具が入ってないんだけどさ~・・それに残ってた醤油を捨てるのが忍びなかったから、ついでに入れといたんだ(笑)だから、しょっぱいかもよ~」

シンさん:「わっはっはっは!」

 


果たして、カレーがしょっぱいのは、醤油なのか、涙なのか・・?
その時の僕には分らなかったのだけど、とにかくおいしいカレーだったのははっきりと覚えています。

生涯、この味を忘れることは決してないでしょう。

 

そして、いざ湖へ!

シンさん:「昨日は、風が強すぎていかんかってさ。お神酒をやってきたよ(笑)」
トシさん:「タロちゃん、お神酒やったから、今日は大丈夫だぜ!」

先ほどの涙を忘れたように僕も笑いました。

ノンゴタハ川の河口へ向かう途中、記念撮影しようぜ!ということになり、デジカメで撮りあいっこしました。

 


シンさんと僕。

 


トシさんと僕。

 


そして、爆釣(爆笑?)コンビ、
シンさんとトシさん。

 

河口について驚いたのは、なんと無風に近いくらいの微風。
お神酒効果だぜ!と三人で盛り上がってました。

静かに辺りが暗くなり、夜がやってきました。
NZでは夜の12時まで釣りをしてよいことになっています。

むしろ湖は夜釣りが主流なので、気付けば周りには釣り人が大勢立ち込み始めていました。

 

水鳥がシルエットになり、釣り人は一本の杭になります。
釣れない・・

そして、お神酒効果が切れたか、強風が吹き始めました・・
遠くに立ち込んでいるシンさんの笑い声が聞こえてきます。「風、つえ~」

釣れなくてもいいや。
遠い異国の地で彼らと出逢えた偶然に。そして、ヒロシさんと同じセリフになってしまいますが、素晴らしい出逢いをくれたロトルアに感謝しながら、暗闇にシューティングヘッドを放り投げるのでした。

と、今回はここまでです。
何だか湿っぽくなってしまいましたが・・

「多くの人に支えられているから、僕は旅ができるのだ」
今更ながらに、そのことを噛みしめております。

ヘッポコの僕にいつも温かいエールを送ってくださる皆様・・
この場をお借りし、改めて御礼申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します!

それでは、また次回!